【連載】不動産投資の考え方 Vol.013 金融機関は支店によって対応が変わる!?
連載第十三回は、金融機関のエリアによる対応の違いについて解説いたします。
金融機関は支店によって対応が変わる!?
なごみが、ある地方銀行の担当者から聞いた話です。この銀行では、融資を希望するサラリーマン投資家の顧客が非常に多いそうです。たとえば東京在住の人だと、都内の山手線内と総武線上に支店があるため、どちらかに相談に行くことになりますが、利便性から山手線内の支店へ融資依頼を持ち込む人が集中するそうです。すると多忙な銀行員は、どうしても属性の高い人や金額の大きい案件から手を付けるようになります。他の支店なら後回しにされない案件であっても、都内の支店では場合によっては断ってしまうケースもあるのです。
一方で、なごみが取引している銀行の千葉県内の支店は、都内の支店と比べれば顧客の数は少なく、その収入も高くありません。だからこそ、都内在住の投資家であっても、千葉県内まで出向けば「非常に高い属性のお客様」として認識されることがあります。
これは、投資家にとっては大きなメリットです。つい最近も、23区にお住まいの投資家が「都内にある地銀の支店に行っても、相手にされなかった」と嘆いていたため改めて、なごみを通してこの地銀と面談をセッティングしたところ、スムーズに話が進んでいます。都内の支店というのは大口の法人顧客を多数抱えているため、「少し属性が高い個人投資家」程度では相手にされないこともあるのです。
ただし、別の地銀では都内の支店に「収益物件の融資に関するエース級の人材」のみを集めて、収益物件に特化しているようなケースもあります。地方の支店より都心の支店のほうが担当者のレベルが高く、良い条件の融資を受けられる可能性もあるのです。
このあたりは本当にケースバイケースなので、我々のような不動産業者とコミュニケーションを欠かさず、生きた情報を収集すべきだと思います。
こういった情報収集の際、サラリーマン投資家が気になるのは、「どうしたらいい業者と良い関係をつくることができるのか?」だと思います。
それには、まず自分の情報を開示することです。前章で先述した通り、条件のいい融資を受けるためには、職業や年収などといった属性が影響します。それだけに、属性や資産背景、また自身の求めるゴールについて、不動産業者にしっかり伝えることが重要です。
そして、不動産業者との面談では「この物件がいい、あの物件がいい」と妙なこだわりを持たずにフラットな状態でアドバイスを聞くことです。
かたくなにこだわってしまうと、紹介や使える金融機関、買える物件の幅を狭める可能性があります。たとえば「高利回りで口Oでないとダメだ」という人に対して、「こういう物件のほうが、あなたの属性なら借りやすいですよ」という提案ができることもあります。まずは先入観をもたずに耳を傾けることが、理想への近道だと考えてください。
不動産業者の本音をいえば、「買うか買わないか、不透明な人に骨は折れない」のです。
営業も多忙で、時間には限りもあります。それならば、属性や資産背景があらかじめわかっていて、購入実績がある人を優先するのは人情です。
有利な融資をスピーディーに進めていくためには、不動産業者の紹介ルートをうまく利用していくことが近道ではありますが、一方で「業者任せではいけない」という側面もあります。
不動産投資で成功している投資家は、不動産業者も金融機関も自分の力で開拓してきた人が多いのですが、情報量の面で業者を凌駕することは難しいものです。そこは、うまく業者とパートナーシップを結びましょう。不動産業者と信頼関係を築くには、物件を買うことです。金融機関に実績をつくると同時に、不動産業者に対しても実績を積み上げていくことになります。まずは物件購入、それから次のステージに進めるのです。
金融機関にしても、同じことがいえます。著者自身にしても、最初に物件購入資金を借りるときは、どこの金融機関も相手にしてくれませんでした。何とか1件目の金融機関と取引できると、他行でも「あそこと取引しているのであれば、うちでも」と、取引が広がりました。現在は都市銀行とも取引が始まり、いろいろな紹介や提案をいただくようになっています。
「すべて業者に任せる」ことは、面倒がなくスムーズに感じるかもしれません。しかし、自ら勉強と経験を積んで得た知見があると、不動産業者から「かなり詳しい人なのだな」と一目置かれる存在になり、業者の話す内容や提案についてもより理解ができると思います。
次回からは、満室運用にむけた『管理・運用』についてご案内します。