【連載】不動産投資の考え方 Vol.016 「満室経営」に向けた間口の広げ方について
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連載第十六回は、「満室経営」に向けた間口の広げ方について解説します。

物件を購入したオーナー最大の関心事は、「いかに高稼働させるか」という点です。いくら高利回りであっても入居率が悪ければ、絵に描いた餅でしかありません。
まず、初期費用について解説します。
入居者は「初期費用を安くしたい」と考える人が多く、敷金・礼金ともに「0」で募集をかけることもしばしばあります。その上で、契約時の初回賃料1ヵ月分を無料にしています。何カ月も空室が続くよりは初期費用の負担を少なくして、スピーディーに入居付けしていくことを重視しています。
また入居条件については、ペット可にすることで他の物件よりも競争力が出ますから、その場合は敷金2カ月に設定しています。なごみは基本的にオーナーの許可があれば、これらの条件をすべて付けるようにしています。自社の物件も同じ条件で募集して、進営しています。
また、自社での入居募集以外に他社の仲介の入居付け業者にも必ず募集依頼をします。
その場合、毎月・毎週、エリアを分けて業者さんに挨拶回りをします。物件資料を持参して訪問することで、いろいろな情報の共有ができたり、物件を知ってもらう機会になるからです。仲介会社が入居付けをするケースでも、提携先の保証会社に審査をしてもらいますから、いい加減な入居者を付けてトラブルになるケースはまずありません。
また、家賃設定はとても重要です。基本的には、オーナーの決めた家賃で埋められる管理会社に任せるのがいいでしょう。その点でいえば、なごみは「家賃相場にとらわれすぎる必要はない」と考えています。相場にこだわらず、投資家の意向をくむ努力ができれば、良い管理会社であるといえます。
最近は、入居付けのために「家賃を下げましょう」と安易な提案しかできない会社が多いのです。最善を尽くしてもどうしても埋まらず、そこで初めて賃料を下げるのであれば、オーナーも納得しやすいでしょう。
投資家は、何より「なんとか早急に満室利回りを実現したい」と考えています。それを実現させるには、物件をなるべく多くの入居希望者に見てもらう必要があります。間口を広げるために「ホームズ」「スーモ」「at home」といった大手ポータルサイトに物件情報をしっかり掲載させること。これが第一です。
続いて、「間口を広げる」目的での入居条件緩和のポイントについて解説します。
なごみは、基本的に保証会社の審査が通れば、よほどコミュニケーションに問題がある人以外は入居してもらっています。そうすることで、地場の不動産業者に「あの会社が管理する物件なら、生活保護受給者でも相談に乗れる」と認知してもらい、入居者を紹介してもらえるように図っているのです。
行政によって対応は異なるものの、なるべく「代理納付」で家賃をもらうのが理想です。
「代理納付」とは、生活保護を受ける入居者の家賃を役所から直接振り込んでもらうことをいいます。
代理納付の申請は不動産管理会社が委任されて行うケースと、本人でないと受け付けないケースがあります。契約の際に必ず行政の担当者の連絡先を聞き、本人から一度連絡をしてもらい、後日、行政の担当者との打ち合わせの場を設けてもらいます。ただし代理納付を必須条件にしてしまうと、自治体によっては保証会社でリスクをカバーすることもあります。
この場合、家族である息子や娘が代わりに賃貸契約できるか、折衝することになります。
その際、家族はある程度近場に住んでいることが望ましいです。何かあったときに、身内の人が協力してくれる態勢でなければ、管理会社やオーナーではどうにもならない場合も出てきます。もし天涯孤独である場合は、やむなく断るケースもあります。
加えて、必要事項のやり取りをする中で、すべての人に対して「コミュニケーションがしっかりとれる人かどうか」も見るようにしています。話が通じないような人がいたら、こちらから断るケースもあります。目先の入居率にとらわれて後々大変な入居者を入れてしまうと、他の入居者が出ていったり、トラブルのもとになって苦労します。
そして、最初から何度も約束を破るような人は、家賃入金に関しても期日までに入金してもらえないことが多いため、こういう人も断ります。
ところで入居審査のポイントとして、まずは保証会社の審査を通るのが第一条件です。
当社では、入居時の条件として保証会社との契約を必須にしています。生活保護受給者でも外国人でも審査が通れば受け入れ、利用する保証会社は2~3社に絞っています。保証会社の数を増やしても、管理上うまく把握できない側面があります。また、毎月まとまった件数を保証会社に依頼していると、ある程度条件面で緩和してくれることがあり、特別プランで提供してもらえるメリットもあります。

隠れた賃貸ニーズを引き出すには、現地の調査が大切です。それによって採るべき対応
も変わります。
現地が工場の多い地域なのか、商業地域なのか、団地なのか、インターネットである程度の情報は事前に調べることができます。駅徒歩圏外であれば、駐車場が必須となります。
もしも物件に駐車場の数が足りていないのであれば、周辺の月極め駐車場の空き情報を仕入れておくことが大切です。定期的に空いているか、確認しておくといいでしょう。
そして実際に行う空室対策については、まずはお金をかけない施策から行いましょう。
地場の不動産業者は「オーナー、お金をかけてここを直しましょう。リフォームしないと埋まらないです」から始まりますが、なごみのやり方は彼らと真逆のアプローチです。
先述したように入居者が抱えている初期費用への問題、ペットの問題、それらを解消する物件のメリットをたくさんつくり、それを武器にする・・・・・・という提案をしています。いずれも、コストをかけずにできる施策です。
設備面での付加価値の付け方は、オーナーの予算にもよるので、まずは条件を緩和して募集を開始し、1~2ヵ月ないし、2~3カ月で状況をモニタリングします。反響がパッとしないようであれば、「このお部屋にはエアコンが付いていないので、改善してみましょう」という提案をしています。まずは入居条件を調整して、現況でいかにして想定利回りを実現できるかです。お金のかかることは、打つ手をすべて打った後でいいのです。
提案というのは、仕組みがあって生きるものです。何の仕組みもないのに、提案だけで空室を埋めることを実現できなければ意味がありません。まずは実績と仕組みを確立させるのが重要で、なごみはそのあたりをしっかりやっているという自負があります。
連載第十六回は、「満室経営」に向けた間口の広げ方について解説します。
満室経営を実現させる「間口を広げる作戦」とは?

物件を購入したオーナー最大の関心事は、「いかに高稼働させるか」という点です。いくら高利回りであっても入居率が悪ければ、絵に描いた餅でしかありません。
まず、初期費用について解説します。
入居者は「初期費用を安くしたい」と考える人が多く、敷金・礼金ともに「0」で募集をかけることもしばしばあります。その上で、契約時の初回賃料1ヵ月分を無料にしています。何カ月も空室が続くよりは初期費用の負担を少なくして、スピーディーに入居付けしていくことを重視しています。
また入居条件については、ペット可にすることで他の物件よりも競争力が出ますから、その場合は敷金2カ月に設定しています。なごみは基本的にオーナーの許可があれば、これらの条件をすべて付けるようにしています。自社の物件も同じ条件で募集して、進営しています。
また、自社での入居募集以外に他社の仲介の入居付け業者にも必ず募集依頼をします。
その場合、毎月・毎週、エリアを分けて業者さんに挨拶回りをします。物件資料を持参して訪問することで、いろいろな情報の共有ができたり、物件を知ってもらう機会になるからです。仲介会社が入居付けをするケースでも、提携先の保証会社に審査をしてもらいますから、いい加減な入居者を付けてトラブルになるケースはまずありません。
また、家賃設定はとても重要です。基本的には、オーナーの決めた家賃で埋められる管理会社に任せるのがいいでしょう。その点でいえば、なごみは「家賃相場にとらわれすぎる必要はない」と考えています。相場にこだわらず、投資家の意向をくむ努力ができれば、良い管理会社であるといえます。
最近は、入居付けのために「家賃を下げましょう」と安易な提案しかできない会社が多いのです。最善を尽くしてもどうしても埋まらず、そこで初めて賃料を下げるのであれば、オーナーも納得しやすいでしょう。
投資家は、何より「なんとか早急に満室利回りを実現したい」と考えています。それを実現させるには、物件をなるべく多くの入居希望者に見てもらう必要があります。間口を広げるために「ホームズ」「スーモ」「at home」といった大手ポータルサイトに物件情報をしっかり掲載させること。これが第一です。
続いて、「間口を広げる」目的での入居条件緩和のポイントについて解説します。
生活保護受給者
「生活保護受給者は不良入居者になりやすいのでは」と心配するるオーナーもいるようですが、必ずしもそのようなことはありません。なごみは、基本的に保証会社の審査が通れば、よほどコミュニケーションに問題がある人以外は入居してもらっています。そうすることで、地場の不動産業者に「あの会社が管理する物件なら、生活保護受給者でも相談に乗れる」と認知してもらい、入居者を紹介してもらえるように図っているのです。
行政によって対応は異なるものの、なるべく「代理納付」で家賃をもらうのが理想です。
「代理納付」とは、生活保護を受ける入居者の家賃を役所から直接振り込んでもらうことをいいます。
代理納付の申請は不動産管理会社が委任されて行うケースと、本人でないと受け付けないケースがあります。契約の際に必ず行政の担当者の連絡先を聞き、本人から一度連絡をしてもらい、後日、行政の担当者との打ち合わせの場を設けてもらいます。ただし代理納付を必須条件にしてしまうと、自治体によっては保証会社でリスクをカバーすることもあります。
高齢者
高齢すぎる人の入居申し込みは、保証会社の保証対象外となるケースがあります。たとえば代後半以降の人です。「自力で生活できない可能性が高い」「何年もたたず亡くなられる可能性がある」といった理由から、保証会社が温避するのです。この場合、家族である息子や娘が代わりに賃貸契約できるか、折衝することになります。
その際、家族はある程度近場に住んでいることが望ましいです。何かあったときに、身内の人が協力してくれる態勢でなければ、管理会社やオーナーではどうにもならない場合も出てきます。もし天涯孤独である場合は、やむなく断るケースもあります。
外国人
外国人の入居については「マナーを守って暮らしてくれるか」を重視します。以前、外国人ばかりが入居するアパートのオーナーチェンジ物件を取り扱ったときは、事前に近隣の人にヒアリングを行いました。その結果、「静かに生活しており、挨拶もきちんとできる」ことがわかったため、安心しました。結局は外国人かどうかの問題ではなく、「その入居者の態度がどうか」なのです。どの国の入居者であっても、きちんとしている人はきちんとしていますし、逆に日本人の入居者が問題を起こすこともあります。いずれにしても、保証会社に加入してもらい、家賃滞納のリスクヘッジはしっかりと行います。加えて、必要事項のやり取りをする中で、すべての人に対して「コミュニケーションがしっかりとれる人かどうか」も見るようにしています。話が通じないような人がいたら、こちらから断るケースもあります。目先の入居率にとらわれて後々大変な入居者を入れてしまうと、他の入居者が出ていったり、トラブルのもとになって苦労します。
そして、最初から何度も約束を破るような人は、家賃入金に関しても期日までに入金してもらえないことが多いため、こういう人も断ります。
ところで入居審査のポイントとして、まずは保証会社の審査を通るのが第一条件です。
当社では、入居時の条件として保証会社との契約を必須にしています。生活保護受給者でも外国人でも審査が通れば受け入れ、利用する保証会社は2~3社に絞っています。保証会社の数を増やしても、管理上うまく把握できない側面があります。また、毎月まとまった件数を保証会社に依頼していると、ある程度条件面で緩和してくれることがあり、特別プランで提供してもらえるメリットもあります。
地方で勝つためには、「付加価値」の設定がカギ!

隠れた賃貸ニーズを引き出すには、現地の調査が大切です。それによって採るべき対応
も変わります。
現地が工場の多い地域なのか、商業地域なのか、団地なのか、インターネットである程度の情報は事前に調べることができます。駅徒歩圏外であれば、駐車場が必須となります。
もしも物件に駐車場の数が足りていないのであれば、周辺の月極め駐車場の空き情報を仕入れておくことが大切です。定期的に空いているか、確認しておくといいでしょう。
そして実際に行う空室対策については、まずはお金をかけない施策から行いましょう。
地場の不動産業者は「オーナー、お金をかけてここを直しましょう。リフォームしないと埋まらないです」から始まりますが、なごみのやり方は彼らと真逆のアプローチです。
先述したように入居者が抱えている初期費用への問題、ペットの問題、それらを解消する物件のメリットをたくさんつくり、それを武器にする・・・・・・という提案をしています。いずれも、コストをかけずにできる施策です。
設備面での付加価値の付け方は、オーナーの予算にもよるので、まずは条件を緩和して募集を開始し、1~2ヵ月ないし、2~3カ月で状況をモニタリングします。反響がパッとしないようであれば、「このお部屋にはエアコンが付いていないので、改善してみましょう」という提案をしています。まずは入居条件を調整して、現況でいかにして想定利回りを実現できるかです。お金のかかることは、打つ手をすべて打った後でいいのです。
提案というのは、仕組みがあって生きるものです。何の仕組みもないのに、提案だけで空室を埋めることを実現できなければ意味がありません。まずは実績と仕組みを確立させるのが重要で、なごみはそのあたりをしっかりやっているという自負があります。
「ペット可物件」のメリット&デメリット
最近は小型犬を飼う人が増えていて、ペット可物件のニーズは広がっています。そのため「ペット可」は拗件の差別化に有効です。人気の高いエリアの駅近物件であれば、ペット不可でも入居付けができますが、駅徒歩圏外の地域になると、もはや「ペット飼育可」が、標準化してきているのが今の流れです。ただし、全空室であれば、ペット可に切り替えるのは比較的簡単ですが、ペット不可だった物件のオーナーチェンジの場合、既存入居者との折衝が必要になります。
また、ペット可にした場合、退去時の原状回復を心配するオーナーもいます。通常であれば敷金0のところ、ペット可物件の場合、入居時に家賃2カ月分を預かることや、賃貸契約締結のときには「ペットの臭気やペットによる原状回復工事費用は必ず入居者が負担する」という特約を入れるなど、リスクを小さくする工夫をします。
実際のところ、小型犬1匹くらいであれば建物への影響はそれほどないものです。このあたりは結局、飼い主のモラルによるところが大きいようです。
次回は、指標とすべき「リフォームの利回り」について解説します。